「意思決定」のための情報収集はスピード重視
「目的」といっても、そのアウトプットのスタイルによって大きく三つに分かれる。「意思決定の助けとなる情報」「アイデアの元になる情報」、そして「コミュニケーションの手段としての情報」だ。
それぞれ、必要となる情報の内容も違えば、重視すべきポイントも違う。ここを間違えると、不要な情報を集めてかえって意思決定が遅れてしまったり、無駄な情報収集に多大な時間をかけたりしかねない。
順に説明していこう。まず「意思決定の助けとなる情報」とは、その名のとおり「何かを決断するための情報」だ。「この事業に進出すべきか否か」といった大規模なものから、「今日の昼食はどこで食べるか」までレベルは様々だが、重要なのはスピードだ。
情報の精度が高いに越したことはないが、あまり時間をかけすぎると、せっかくのチャンスを逃してしまったり、昼食の時間がなくなってしまったりする。
では、どのような情報を集めればいいのか。ここでご紹介したいのが、「情報とはマイナスのエントロピーである」という言葉だ。
「エントロピーを減少させる情報か」を考える
これは以前、情報理論の専門家から聞いた話である。
エントロピーというのは、もともと熱力学の用語で、簡単に説明すれば物質やエネルギーの乱雑度合いや偏り具合を表す。状態が無秩序で混乱していたり、不確実性が高いことをエントロピーが高いといい、逆に状態が整然としていたり、確実な状態であることをエントロピーが低いという。
これを情報理論にあてはめ、エントロピーを「事象の不確かさ」と定義すると、エントロピーが減少すればするほど、事象の確実性は高まるということになる。つまり、エントロピーを減少させる方向に働く情報こそが、物事の確実性を高める、優れた情報ということになる。そういう意味で、「マイナスのエントロピー」と定義しているわけである。
情報の中には、それを加えることでエントロピーが減少するものもあれば、むしろエントロピーが増大してしまうような余計な情報もある。
膨大な情報の中から、何が「エントロピーを減少させる情報か」を考えることが、意思決定のための情報収集の助けとなるのだ。