そうしたことからNATOは、戦力および兵站を増強するために加盟各国がまとめた数千ページにおよぶ機密文書を検証する予定だ。冷戦終結以降では最も詳細かつ大規模な検証だ。
また、NATO事務総長ストルテンベルグが5月に話した内容としてロイターが伝えたところによれば、こうした計画には、さまざまな地域を防衛するための軍隊の支援も含まれており、「どこに、何を、どのように配備するか」に関する詳細が提示されているという。これは、クリミア併合をきっかけに始まったプロセスを強化するものだ。クリミア併合後、西側の同盟国は、東欧に戦闘部隊を配備した。
ストルテンベルグは今年3月、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアに各1500人規模の4つの戦闘群を新たに配備すると発表した。
最初の一撃を受ける東部前線
狙いは、「NATOの東部における陸、空、海の戦力を増強し、あらゆる領域におけるNATOの態勢を強化する」ことにあるという。NATOはエストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドには既に戦闘群を配備している。
「東部の戦闘群は前線であり、ロシアが攻撃してきた場合には、最初の一撃を受けることになる」とゴットモーラーは話した。「どこか一カ所、たとえばバルト海沿岸国をロシアが攻撃すれば、NATO全体を攻撃したことになり、NATO全体が即座に反撃するということを、ロシアにはっきり知らしめる」
ゴットモーラーによれば、NATOとロシアの戦争に関する計画は、ほぼ10年にわたる取り組みの一環だという。冷戦終結後、および911同時多発テロ後、対テロ戦争に重点を置いた体制を、再び対ロシアで強固なものに組み直す取り組みだ。
「2014年にクリミアが併合され、NATOとの境界付近におけるロシアの振る舞いが不穏になって以降、NATOはずっと、ロシアの攻撃に対して迅速に応戦し、自衛するための備えが必要になることを認識してきた」と、ゴットモーラーは言う。
(翻訳:ガリレオ)