がん、脳卒中、心筋梗塞の原因にもなる

自律神経のバランスの崩れは、自律神経失調症の原因にもなります。

自律神経失調症による主な自覚症状は、不安感、疲労感、不眠症、食欲の減退、発熱、異常な発汗、息切れ、過呼吸、めまい、便秘や下痢、嘔吐感……など多岐にわたりますが、不定愁訴と同様に、医療機関で検査をしても原因となる病変が認められないケースがほとんどです。

小林弘幸『医者が教える 心と体が本当にととのう サウナ習慣』(Gakken)

自律神経失調症の診断を受けると、抗不安薬やホルモン剤などの薬が処方されますが、あくまで症状を緩和させるだけで、根本的な治療にはなりません。

特段の病変が見当たらない不定愁訴や自律神経失調症を根本的に治すためには、自律神経のバランスを整えることが重要なのです。

長年、自律神経の研究を続けてきた経験でいえば、がん、脳卒中や心筋梗塞そくなどの循環器の病気、感染症……などなど、ほとんどすべての病気に対して、自律神経のバランスの崩れが何らかの影響を与えていると考えたほうがいいでしょう。

さらに、これから血管のお話をしますが、大きな血管である動脈と静脈、小さな血管である毛細血管のコンディションは、ともに自律神経の働きによって大きく左右されます。

その理由は、血管のコンディションをよい状態に保つためには、血液の流れがスムーズであることが必要不可欠な条件であり、その血流をコントロールしているのが自律神経であるからです。

アクセルの役割である交感神経とブレーキの役割である副交感神経とがバランスよく、相互に助け合いながら働いてこそ、血液はスムーズに流れます。

まとめると、サウナによる最大の健康効果は、自律神経のバランスを整えることで血行を促進させて、血管を「筋トレ」するように強く、しなやかに鍛えることにあるといえるでしょう。

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