必要以上に貯金することの弊害
人の欲は永遠です。手元にお金がないからといって、欲が消えるわけではありません。
なければないなりに策を考え、手元に用意すればいいことです。
そうすることで、新たに芽生えた欲は満たされ、経済に循環を起こすことができます。
その具体的な方法とは、信用を担保に持っている人から借りるというものです。
「お金を持ってないのに、どうやって使うの?」
「パパ10万円貸して」
「いいよ。そうなると、パパのお金がレムに移動することになるから、パパはゼロ、リラは20万円、レムは10万円になるよね」
「その10万円を使って、お買い物して」
「パパのお店で10万円使う」
「そうなると、またパパは10万円、リラは20万円、レムはゼロになるけど、パパに10万円借りてるから、マイナス10万円になるね」
「またパパから10万円借りるの? 次はリラから借りれば?」
「リラがお金を使わないからだよ。もお」
「リラちょっと来て」
「なに?」
「リラがお金を使わないから、僕が10万円の借金になったでしょ」
「なんのこと?」
「リラもお金使って」
「なんで、ヤダ」
このやり取りを見て気づいた人も多いかもしれませんが、本人は悪気があって貯金しているわけではありませんし、意図的に国に借金を追わせるつもりもありません。
それどころか、日本国民のほとんどは、まさか自分たちの行動がマイナスを作り出していることにすら気づけていないのです。
まさに、リラが口にした「何のこと?」状態と言えます。
だから、多くの人は、日本の借金に興味はありませんし、国が借金を抱えていることを知らない人もいるほどです。
「お金を刷ればいい」という単純なものではない
このまま借金に背を向けても減っていくわけではありませんし、むしろ借金が足かせとなり、私たちの生活を圧迫する要因となることを考えると放置することもできません。
そこで、多くの人はお金を刷ることで帳尻を合わせることを考えるわけですが、そんなに簡単な問題ではありません。
「じゃパパ。リラはお金を使わないっていうから、お金を刷ったらどう?」
「それはダメだよ」
「なんで?」
「お金を増やすと、全体のお金の価値が下がるから増やせないんだ」
「どういうこと?」
「今は3人のお金を足したら、全部で30万円あるでしょ。それを10万円足して40万円にすると、お金の価値が下がるのわかる?」
「わからない」
「例えるなら、パソコンが10個あるとするでしょ。全体で30万円お金があるときはひとつ3万円で買えるよね。でも全体のお金が40万円になると、ひとつ4万円出さないと、買えないのわかる?」
「わかるよ。それがお金の価値が下がるってことか、嫌だね」
「だから、お金は簡単に刷れないんだ」
「それじゃリラが使うしかない。リラお金を使いなさい」
「なんでリラなの?」
「リラのところに20万円あるでしょ。リラが使わないから僕が借金する羽目になったんだから、使ってよ」
「わかったよ」
これはあくまで個人の話をベースに事例を置き換え話しましたが、企業が貯金に走れば、日本経済は一気に凍りつき世界に対抗することができなくなります。
これは、規模に関係なくビジネスを行っている者の役目です。