「合格してほしい」と思う親は自分のことしか考えていない
確かに、受験戦争は親にとっても苛烈な戦いです。朝早くから夜遅くまで勉強し続ける受験生たちのコンディションが悪くならないように、常に気を配ってあげなくてはいけません。「落ちる」「滑る」というワードを禁句のように思っている方もいることでしょう。
ですが、桜木はこのような態度に警鐘を鳴らします。本当に頑張っているのは子供たち自身であるのに、その頑張りを認めずに、結果だけを求めるというのは、自分のことしか考えていないのではないか、これは親が子供におんぶされているような状態であって、「合格まで連れて行ってくれ」とわがままを言っているような状態にすぎないのだと――。
確かに、一浪の末東大に合格した僕からしても、親が無関心であったことは東大合格に大きく寄与していると思います。親からの「東大に受かってほしい」という思いは、たとえ声に出していなかったとしても、子供に伝わっていくものです。
しかし、誰よりもまず東大に合格したいと思っているのは、親ではありません。受験生本人です。自分自身のプレッシャーで押しつぶされそうになっているのに、どうして他人から発されるプレッシャーまで背負えるでしょうか。
数字だけでなく過程を評価する唯一の存在
僕が思う受験生にとって一番助かる態度は、結果はどちらでもいいと思ってくれることです。そうして、頑張ったという結果を一緒に分かち合ってくれる。受験生にとって、それほどうれしいことはありません。受験戦争は孤独な戦いであるからこそ、その過程に注目して励ましてくれる人は、本当に貴重な存在なのです。
受験生にとって、親以外の大人は、自分を模試の点数や偏差値などの数字でしか評価してくれません。努力や過程が大事だと言いつつも、成績が低下したら「このままだと第一志望は厳しいぞ」などと問答無用に責め立てます。出した結果がどのようなものであるかにしか興味がない人々とは違い、唯一親だけは、結果だけにとらわれないで自分自身を見てくれるはずだと考えています。
模試の点数が悪くても、それを責めないようにしましょう。「大丈夫だよ、いつも夜遅くまで勉強しているんだから」と、いつも自身が見ている頑張りを一緒に分かち合ってあげる。そうすることで、お子さんの負担を大幅に軽減させることができます。
親に認められれば、子供もまた受験に対して前向きになることができるでしょう。そんな晴れやかな気持ちで受験に臨むことこそが、受験生にとっても親にとっても最上級なのです。
わが子の受験に対して、ついつい数字の結果を求めてしまってはいないでしょうか。それでは、いたずらにプレッシャーを与えているだけかもしれません。子供の受験の足を引っ張る存在ではなく、後押しをする存在になるためにも、ぜひ結果だけを求めるのではなく、過程を評価するようにしてあげてください。