ヨーロッパでは幼少期から「性的同意」を学ぶ
近年では、「同意」と聞くと、「性的同意」を思い浮かべる方も多いでしょう。
ヨーロッパでは性教育が義務化されていて、フランスでは6歳から、フィンランドでは7歳から、ドイツでは9歳から、公立学校での性教育が始まり、人間関係の中での「同意」というコンセプトに関しても低年齢から学習します。
性教育に関しては、日本では各学校の自由裁量に任されているようですが、アメリカでは30の州で義務化されている一方、学校ごとの任意とする州もあります。「分断」の国なので、たとえ同じ州の中にあっても、教育内容も価値観も地域や学校区ごとに全く違うこともあります。
ただ、医療行為におけるインフォームドコンセントや性的同意だけでなく、もっと幅の広いコミュニケーションのあり方として、日常生活における「同意」が再発見され、広く注目されていると感じています。
友達や恋人関係、あるいは親と子ども、医師と患者といったさまざまな関係において、安心と信頼をベースに自分の意思を伝え、互いの意思を尊重すること。そんな「同意」の広がりをまずは身近なところからご紹介させてください。
「答えがYESでもNOでもリスペクトすること」
私の息子たちが通うアメリカ・ボストンのプレスクールでは、2歳児のクラスから「同意」について教えられていました。もちろんこの年齢で学ぶ「同意」とは、性的な同意でも医療的な同意でもありません。人間関係の中で、自分の意思を表明すること、そして相手の意思を尊重することの重要性を学ぶための教えでした。
例えば、2歳児の教室ではお茶を入れるアクティビティ(学習活動)がありました。ポットを使って紅茶を入れ、「一緒にお茶を飲まない?」と友達を誘ってみるアクティビティでしたが、そこで友達が、YESと言ってもNOと言っても、どちらの答えもリスペクトすることと教えられていました。
友達と経験を共有することだけでなく、NOと言われた場合は「仕方ない」と受け入れて先に進むことが日常の園生活の中で教えられていることに、親の私は驚きました。