長野に住む実業家の家入一真さんには、長年暮らした東京を離れてわかった良さと悪さがある。『育児ハック』(KADOKAWA)を書いたヨッピーさんが、仕事や子育ての面から根掘り葉掘り聞いた――。(後編/全2回)
都心を離れると人付き合いは疎遠になる
【ヨッピー】東京から軽井沢に引っ越してきて良かったこと、悪かったこととかを聞きたいです。
【家入】前回話したみたいに、僕も家族もその東京で起こりがちな競争とかヒエラルキーの争いから逃げられたっていう部分は大きいと思うんだけど、かといって長野に引っ越したデメリットがないわけではないよ。
僕の奥さんは元アニソンDJだし、それこそ秋葉原や中野・高円寺みたいなカルチャーが好きな人だし、子どもたちもわりとそういうのが好きなんだけど、そういう催し物に行こうと思っても長野から行こうと思ったら新幹線使ってもなんやかんやで片道2時間はかかるじゃん。
【ヨッピー】そういう、イベント的なものの接触頻度はどうしても落ちますよね。
【家入】そう。移住してきたばかりの頃は、新幹線使えば東京駅から軽井沢まで1時間だから「すぐじゃん」って思ってたし、週に3回とか新幹線乗って東京来て会食したりしてたんだけど、長野から東京駅に着いて人混みを見ると「あ、もう森に帰りたい……」とか思うようになっちゃって、段々東京から足が遠のいちゃったんだよね。
人と会ってる時間は楽しいし実りもあるんだけど、結局物理的な距離があると段々疎遠にはなっちゃう。
「ちょっと1杯」ができない
【ヨッピー】そこがねー、悩むポイントですよね。僕も東京にはずいぶん友達ができて、今中野に住んでるんですけど「中野はいいぞ。引っ越しておいでよ」って周囲に言いまくったら本当に引っ越してきた連中がちらほら居て。
だから夜子どもを寝かしつけたあとに「銭湯行こうよ」って友達を誘って銭湯に行って、中野北口の飲み屋でウーロンハイ1杯ひっかけて帰る、みたいな過ごし方ができるのは東京ならではなんですよね。
【家入】ああ、それはここだと無理だね(笑)。