※本稿は、渋田隆之『中学受験で合格に導く魔法のことば77』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
受験の「主人公」を親にしない
「中学受験の主人公は誰でしょうか?」
答えは「子どもたち」であると私は思います。そして、この記事をお読みいただいている皆様もその通りだと思われることでしょう。しかし、実際にコミュニケーションの場面では「親(大人)が主人公」になりがちです。
社会経験が長く、ボキャブラリーも豊かな大人が、わずか10年前後しか生きていない子どもと接するうえで、ぜひとも気をつけておきたいことです。
「あんたが、自分から朝から起きて漢字練習をすると言ったのに何でできないの?」
「受験をやめなさいとお母さんが言ったときに、泣きながら塾を続けさせてくださいと言ったのは誰なの?」
「模試の直しは、すぐにやるって言ってたよね?」
これらの言葉は、本当に本人が心から言ったのでしょうか? 大人がコントロールして、無理矢理言わせたかもしれないという気持ちを心の片隅に置いておくのも大切だと思います。
もう一度、お伝えします。
「中学受験の主人公は子どもたちである」
子どもの悪口を言わない
お母さん(お父さん)が子どもの前で、お父さん(お母さん)の悪口を言わないことは大事です。また、やってはいけないのは、お子さんがいる前で本人のことを悪く言うことです。
他人の悪口については、言ったほうが多少は気が楽になるかもしれませんが、聞いているほうにはメリットはありません。子どもにもメンツやプライドがありますので、例えば塾で、大好きな先生の前で自分の悪いところを言われると、深く傷つきます。
お子さんは外から見えないけれど、中で成長を続けるサナギのような存在だと思ってください。親子関係は一生続きますので、中学受験を通してその親子関係が崩れるようなことだけはしてほしくないと思います。だからこそ、親はある程度の覚悟をもって、掛けてはいけない言葉を言いそうなときは、グッと我慢が必要です。
私は、親は「保護者」から「親」へと成長するという言葉が好きです。「私がいないとだめなんだから」ではなく、「木の上に立って、見る」で、グッと我慢する場面も必要です。