他の子と比べない
これまで2万人以上の生徒・保護者と関わってきましたが、あらためて入塾から合格まで順風満帆に行ったご家庭は1つもなかったと断言できます。
私は、家庭でのようすは実際にはわからないA君と比べるより、ご自身の小学生時代と比べてみてくださいとお勧めしています。将来の目標が決まっていて、黙々とその目標に向かって頑張れていたでしょうか?
たとえ、中学受験を体験されていなくとも、なかなか難しいということが直感的にもご理解いただけるかと思います。
とはいえ、ちっとも机に向かわないお子さんを見て、平常心ではいられないお気持ちもわかります。今まで10回怒っていたのが、8回になっていたら御の字ではないかという感覚も必要です。
また、言葉もきつい言い方ではなく、2割引きの柔らかい言い方に変えてみるというのも大きな変化だと思います。
マニュアル本には、「ほめて伸ばそう」というような理想論が書かれてあるかと思いますが、その通りに完璧にできなくとも「受験生の親失格なのでは?」と思う必要なんてありません。たくさんの生徒をみて確信しているのは、子どもは完璧な親なんて求めていないということです。
マニュアルに縛られない
マニュアル本の宿命として、自分の中に腑に落ちていない内容を使うと、逆効果になる危険をもっています。生兵法が大怪我の元ということです。
たとえば、「子どもはほめたほうが勉強すると書いてあるから、本当はほめたくないんだけど、ほめてみよう」という態度では、うまくいきません。気持ちは、言葉以上ににじみ出るものだからです。
子どもと接するときは、言葉より先に態度や姿勢にも気をつけておきましょう。メラビアンの法則は、7:38:55のルールと呼ばれることもあります。人間はコミュニケーションにおいて言語、聴覚、視覚の3つの要素から相手の感情や意図を読み取ると仮定しました。
そして仮に、この3要素から受け取った情報が矛盾していたとき、言語7%、聴覚38%、視覚55%の割合で判断に影響を与えるとするのが、メラビアンの法則です。この法則は、注意するときではなく、いっしょに楽しんだり喜んだりするときを考えるとよく理解できると思います。
子どもの成功を笑顔で迎えたり、いっしょにガッツポーズしたり、ハイタッチしたり。合格の瞬間に抱き合ったり、涙を流したりする。
そんな日を迎えるために、本記事がお役に立てたのならこんな幸せなことはありません。