視聴率が上向きになった要因

とにかく万太郎はふわっとしとんのよ。気が付けば、地べたに這いつくばって植物と会話。東京の博覧会に参加して豪遊した際には、和菓子屋の娘・寿恵子(浜辺美波)に一目ぼれ&初恋までしちゃって!

ひと悶着あって東京へ行くまでは、まあ、苦労知らずの「甘えんボン」なわけよ。ところが、人生そううまくはいかない。ってところで、神の子・神木の艱難かんなん辛苦が始まったので、私は本腰を入れ始めた。

どうやら視聴率も第6週のドクダミあたりから上がったようで。みんな主人公の苦労と苦悩が観たいんだよね。

出典=ビデオリサーチ調べ、関東地区、世帯視聴率

朝ドラが盛り上がる王道の要素とは

昨今の朝ドラには定期的に「ヒロインが上京して、都合よく善人に囲まれて根を張る」スタイルがある。

「なつぞら」の広瀬すずは陽気でおしゃれなおでん屋女将(山口智子)にすっかり気に入られて世話になるし、「ちむどんどん」の黒島結菜は路頭に迷ったものの沖縄県人会長(片岡鶴太郎)に拾われたし。

絵がうまいとか料理がうまいとか、秀でた才能があるにしても、あまりに幸運と善人に恵まれていると、鼻白んでしまう。上京はしていなくても、生活困難や性差別、嫉妬や嫌がらせなど、艱難辛苦をがっつり背負わされて歯を食いしばった作品には敵わない。

例えば、「カーネーション」の尾野真千子(そもそも父親との確執&下働きやムチャブリ大量受注、親しい人からの嫉妬)、「スカーレット」の戸田恵梨香(内定取り消し&女中奉公、社食の下働きから陶芸の道へ)、「おちょやん」の杉咲花(そもそも口減らしで売り飛ばされる&クズ父にたかられる)、「カムカムエヴリバディ」の上白石萌音(戦争で夫や母を失い、極貧&おはぎ手売り、おまけにふがいない兄が資金持ち逃げ)。

やっぱり朝ドラには「生活基盤の崩壊」や「ふがいない家族」「裏切りや嫉妬」「感情の乱高下」が欲しいと思ってしまうのよね……。