神木は七転八倒がよく似合う

思えば、神木は宮藤官九郎作品における「なんだかうまくいかない男子」役が抜群だった。

「11人もいる!」(テレ朝・2011年)では貧乏大家族で空回りする長男役、映画「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」(2016年)では事故で落命、地獄に落ちた男子高校生が輪廻りんね転生に挑むという役どころ。インコやザリガニにしか転生できないもどかしさとおかしさったら。

七転八倒が似合うので、「どうか神木に受難を!」と思っちゃう。それが東京編で徐々に叶ってきたわけだ。

これから私が楽しみにしているシーン

万太郎には二つの希望がある。正確には、ふたりの愛する人がいる。

まずは、運命の女性で後に妻となる寿恵子である。浜辺美波が「明治のオタク女子(滝沢馬琴マニア)」として好演。しかも、ことあるごとに「女の選択肢」が突き付けられる、第2のヒロインでもある。

母親(牧瀬里穂)は元芸者で、妾だった設定。日の当たらない道を潔く選んだ母親に愛されて幸せに育ったが、うっかり自分も富裕層の実業家・高遠(伊礼彼方)にみそめられ、妾オファー(その前に戸籍ロンダリングで金持ちと養子縁組を打診)されてしまう。学会誌の創刊に必死な万太郎とはすれ違っていく。でもこれは序の口ね。相思相愛だから。たぶん結婚してからの困難や絶望のほうが期待できそうだ(困窮に苦しむのは寿恵子のほうかもしれないけれど)。

「らんまん」の主人公・牧野富太郎の晩年の姿
「らんまん」の主人公・牧野富太郎の晩年の姿(写真=牧野植物学全集 第1巻より/PD-Japan-oldphoto/Wikimedia Commons

もうひとり、万太郎が愛してやまないのが竹雄(志尊淳)だ。酒蔵峰屋の番頭の息子で、問題の多い万太郎を幼い頃から「若」と呼んでお供してきた竹馬の友でもある。竹雄も万太郎が好きすぎて、そらもう大変。

生活能力と常識のない万太郎のために、手となり足となる竹雄。給仕として働き、万太郎の寝食すべてを心配し、面倒をみる。姉の綾を慕う恋心を抑え、心身ともに万太郎に捧げている。過去に2度ほど、万太郎との関係を絶つ宣言をしているのだが、結果、離れない・離れたくない・離れられない。ソウルメイトと呼ぶべきか、パートナーと呼ぶべきか。

竹雄が万太郎に絶望を与えたり、裏切るとは今のところ到底考えられないが、どんな形であれ、いずれ別れはやってくるわけで。体の一部をちぎられるような悲しみかもしれないと思うと、心の準備をしておかねば。

作品のモデル・牧野富太郎の人生はかなり長い。神木が何歳までを演じるのかわからないが、それなりの衝撃や慟哭、苦悩や絶望など、万太郎の心模様に見せ場が欲しいかな。神木隆之介だからこそ託せる心情描写のヤマ場を、ぜひよろしく。

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