悩みが頭に浮かぶのを止める方法

「そんなこともあるよね」

私がよく口にする言葉だ。この言葉は、批判が必要なときに見過ごしてしまう言い訳にもなりかねない。だが、もしあなたが他人に対してもう少し鈍感になりたいと思っているのなら、きっと役に立つ。

私たちが生きている現代社会では、毎日、数え切れないほど多くの事件が起こる。ただし、自分と関連のあるものはあまりない。

すべての事件の原因を突き詰めていくと、たちまち疲れてしまう。精神が研ぎ澄まされた状態が長く続けば続くほど、精神的な疲労がたまり、日常生活にもよくない影響が及ぶ。時にははりつめた神経を緩めることで、心の平穏を取り戻せる。

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頭を休ませる方法は、なにもしないか、なにかに没頭すること。だが、いつもそうできるとは限らない。次々と悩みが頭に浮かぶのを、意識的に止めなければならない。

その方法は簡単だ。ものごとを理解する幅を広げさえすればいい。たとえば、次のように考えてみよう。

「新しいことを知ることができた」と考える

思いがけず、卑劣であきれかえるようなことに遭遇しても、そのことで苦しんだり、いらいらしたりしないように。
知識がひとつ増えただけだと思いなさい。人間の性質を学ぶなかで考慮すべき新しい要素が、ひとつ増えただけだ。
非常にめずらしい鉱物標本を偶然、手に入れた鉱物学者と同じように振るまいなさい。 ――アルトゥール・ショーペンハウアー
ソン・ヒムチャン『今日はこのぐらいにして休みます』(飛鳥新社)

要するに、人に接し、人と関係を結ぶなかで、それまで知らなかった事実を新たに知ったのだと考えなさい、ということ。

もちろん、一度では終わらない。これからもあなたは、人について新しいなにかを知っていく。親しい人でも、そうでない人でも、あなたがその人について知らないという事実は変わらない。

人は親になってからそのありがたみに気づく、とよくいわれる。しかし、自分がいざ親になっても、自分自身の親を完全には理解できないのではないか。人の内面というのは、このように複雑で、いくら知ってもきりがないものだ。

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