ADHDの子どもの注意力が向上した事例もある

ある研究では、オメガ6系の摂取量が少ない子どもは、実行機能が優れていたという観察結果が出ている。

注意欠如・多動症(ADHD)と診断された子どもたちの場合、その症状は実行機能に関わっていることが多く(現代のADHDの「問題」は、もとより新しいものを探し求めるためにできている脳が、同じ作業を繰り返す仕事や、全員に同じ教育をほどこす制度によってクラッシュした結果、起きている可能性がある)、ある研究ではADHDと診断されていない子どもたちも含めて、オメガ3系のサプリメントを摂取することで注意力が改善したという(私は子どもの頃にマーガリンと穀物油を摂っていたが、私の問題はそれが要因だったのだろうか? はっきりとは断言できない。だが、あながち外れているとも言いきれない)。

サプリメントの摂取でも劇的な効果

体調を改善するために摂取する脂肪を変えたいなら、思い立ったが吉日だ。

ベルリンのシャリテ医科大学病院の臨床試験によると、ただ魚油のサプリメントを摂取するだけでも効果があるという。この研究では、成人の被験者が1日あたり1320ミリグラムのEPAと、880ミリグラムのDHAを含むオメガ3系脂肪酸のサプリメントを与えられた。26週間後、オメガ3系のサプリメントを摂取した被験者の実行機能が、プラセボ群より26パーセント向上していた。しかもプラセボ群の認知機能は、わずかに低下していた。またオメガ3系を摂取した被験者は、脳の灰白質の容積が増え、「白質が構造的に完全な状態になっていた」という。

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たとえば、こう考えてみよう。

白質は脳の高速道路網で、その追い越し車線を通って、データがさまざまな地域のあいだを行き来している。先ほどの研究の場合、オメガ3系のサプリメントの摂取によって、道路の整備チームが出動したかのように、高速道路の凸凹が埋められて滑らかになり、その上、車線まで増えたのと同じ効果があったのだ。