ライリー教授は、「ボーイスカウトは破産事件の後、不確かな未来に直面している」と指摘する。過去80年間に性的虐待を受けたとする元スカウトたちの申し立てが約8万2000件寄せられており、賠償額は少なくとも24億5000万ドル(約3300億円)に上るうえ、団体が提示した1人3500ドル(約47万円)の和解オプションに合意していない事例がまだ7万5000件ほど残っており、金銭的にも時間的にも莫大ばくだいなコストを要するという。

心の傷を負わせた大人たちの罪深さ

世界のボーイスカウトは名誉を重んじるよう教育されている。が、リーダーたち自身の愚かな行動により、BSAの名誉は地に落ちた。

各地方支部は、本来はスカウトの活動の場に充てるための山林を所有しているが、これらを売り払うことも視野に入ってきている模様だ。「その大部分を喪失する可能性がある」とライリー氏は指摘する。しかし真の問題は金銭ではなく、スカウトたちの心に残った、消えることのない傷跡だ。

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BSAの全国委員長は、「スカウト活動中に被害に遭い、底知れぬ痛みを抱えていることに心を痛めています」との声明を発表しているが、一度負ったトラウマはそう易々と消えるものではない。

親の目の届かない自然のなかで少年を虐待してきた、一部リーダーたちの罪は重い。信頼の回復には数十年単位の時間を要することだろう。

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