独裁ぶりは北朝鮮の金正恩とまったく同じ

なかでも習近平の独裁は「北朝鮮化」しており、頻度はげしく開く会議は習の独演会であり、誰の発言にも耳を貸さず、王岐山がひとこと発言しただけで彼を遠ざけた。

この話を裏付けるのは、王岐山は習政権2期目からトップセブンを外されても、重要式典には「八番目はわたし」と金魚の糞のように必ずついてきた光景を何回も見たからだ。

中国共産党政治局会議や幹部会では、全員がメモをとるだけだと女史は指摘した。北朝鮮の独裁者の金正恩と同じではないか。

同じ風景を筆者はトルクメニスタンで見たことがある。現地のテレビ放送でやっていた閣議は、参加者が必死の形相でメモをとりつつ、なるべく独裁者とは目を合わせないようにしている珍奇な場面(それを放送する神経もどうかしているが)に出くわしてぞっとしたことがある。

資本主義原理からは考えられない金融システム

中国の国有銀行の融資枠は63兆円。日本の予算(2023年度)の55%!

この通貨供給の異様さこそ、ステルス・ドラゴン(潜龍=中国共産党中枢)が世界制覇という野望実現の前に障害となる経済のアキレス腱だ。

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国有銀行は共産党の命令とあれば、将来の破産、焦げ付き予測なぞ不問として融資する。西側の資本主義原理からは考えられない金融システムである。だからジャック・マーは「中国にはシステムがない」とつい本当のことを喋ったら習近平の怒りを買った。会計監査があまりにも出鱈目なのでアーンスト&ヤングなど米国四大監査法人は中国から退出する。

中国では銀行融資には賄賂が必要なのが常識。中国工商銀行は碧桂園と万科集団など12社に6550億円(邦貨13兆円。以下同じ)を融資する。ちょうど孫正義が抱える有利子債務の合計額に匹敵する天文学的な数字である。以下邦貨換算で中国銀行が万科など10社に12兆円、浦東発展銀行は碧桂園、緑城中国など16社に8兆8000億円、中国郵貯(郵儲)が5兆6000億円。これだけでも日本の防衛費予算より多い。

中国建設銀行と中国農業銀行は融資枠を発表していない。合計融資枠は63兆円からさらに上積みされる。また融資対象に問題の恒大集団が含まれていないのも妙である。