「合理的」である必要がなくなる

ジェネレーティブAIは、とんでもない間違いをおかすことがありますが、膨大なデータを参照して整合的な答えを導き出すという、きわめて合理的な存在です。人間が第一にジェネレーティブAIに求めるのも、そうした合理性です。

伊藤穰一『AI DRIVEN AIで進化する人類の働き方』(SBクリエイティブ)

そして合理性という点で優れているAIが浸透すればするほど、人間が「合理的であること」の重要性は、どんどん薄れていくでしょう。

合理性は新しいテクノロジーが担保してくれるなかで、「どれだけ整合性の高い優等生的な答えを出せるか」よりも、「どれほどおもしろいか、風変わりなことができるか」――自分という存在由来の「ひねり」、これまでになかった新たな発想を加えることができるかどうかで、人間が評価される時代になっていくでしょう。

いいかえれば、以前にも増して、平均点を取ることよりも、尖った個性を発揮することのほうが高く評価される時代が訪れているのです。そのように考えると、「まず平均的であること」を重んじ、それぞれの個性の発揮は後回しにされがちなまま、ここまで来てしまった日本社会は、いよいよ、待ったなしの変革の時代を迎えようとしているといえるでしょう。

POINT
●AI時代の仕事は、既存の選択肢をコラージュ的に組み合わせてつくりだす、DJ的なものになっていく。
●ジェネレーティブAIが提示する情報は正確性に欠ける部分もあり、それらの内容を精査するためには、人間側に、その分野についての専門知識が必要とされる。
●データに基づき「合理的」な選択肢を提示するジェネレーティブAIの性能が上がるほど、「おもしろいこと」「風変わりなこと」ができる人の重要度が高まっていく。
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