15年後には管理費と積立修繕費で月4万5000円
では修繕積立金はどうだろうか。
2000年代後半に神奈川県内で分譲されたタワーマンションの事例で考えてみよう。このマンションは階数で50階を超える超高層物件。各住戸の面積は55平方メートルから80平方メートル、当時の価格は5000万円から7000万円台。一次取得と呼ばれる若い夫婦や独身者などにも人気の物件だった。
このタワーマンションの管理費は分譲当初は1平方メートル当たり216円。修繕積立金は同じく87円。70平方メートルの住戸での負担額は管理費が1万5000円、修繕積立金が6000円。月額合計が2万1000円ということになる。月々の管理費は駐車場使用料(2万円)も合わせて約4万円程度とそれほど大きな負担ではなかった。
ところがこれにはちょっとしたからくりがある。
修繕積立金は築年数の経過とともに自動的に上昇していく仕組みとなっていたのだ。スタート時点で87円だった単価は5年後に2.5倍の217円、10年後347円、15年後には420円に増額。70平方メートルの住戸で6090円だったのが、2万9400円と4.8倍に跳ね上がることになる。管理費、駐車場使用料と合わせて15年後には6万円を超える負担があらかじめ決定されているのである。
初期費用は軽くして、段階的に値上げ
これは段階増額積立方式と言われるもので、販売時点で高額の修繕積立金を徴収することを説明すると多くの顧客が逃げてしまうのであえて当初は階段を設けて、初期の負担が小さいように見せかける方法で、販売するデベロッパーがよく採用する手法だ。
同じく湾岸エリアで2008年に分譲されたタワーマンションの現在の修繕積立金は、1平方メートル当たり200円、70平方メートルで1万4000円。管理費が同250円、70平方メートルで1万7500円なので、両者あわせて3万円を超える負担になっている。
さらに築20年を迎える湾岸エリアのタワマンを例にとると、すでに管理費で1平方メートル当たり333円、修繕積立金で同309円。70平方メートルで合計の負担額は4万4940円にも達している。