気がつけば不利な状況にはまりこんでしまった
中国企業を悩ませているのは米国の規制だけではない。中国共産党は今年1月、AIによって作られたテキスト、画像、動画、音声などを規制する法案を施行している。中国共産党の価値観に合ったAIを作ることという無理筋の要求があるほか、著名人のフェイク画像を作れないようにするなどAI企業に対応を求めている。さらに対話型AIを対象とした新たな規制作りにも着手している。
企業家から見れば、中国共産党に目を付けられたら一発アウト。AIが習近平総書記や中国共産党の批判をしないようにするのはもちろん、フェイクニュースや詐欺などに悪用されないよう配慮する必要があるが、現時点で対策することはかなり難しい。
本家のChatGPTがそうであるように、いまの対話型AIでは「ハルシネーション」と呼ばれる、もっともらしいウソをついてしまう問題がついてまわるためだ。アーニーボットのように、危険な回答をしかねないケースでは回答不能と逃げるなどの形で対策するしかない。
スマートフォンを超える革命的技術といわれる対話型AI。中国企業もこのチャンスを見逃すわけにはいかないが、気づけばかなり不利なポジションにはまりこんでしまっていた……というのが現状のようだ。