狙いはアウトドア志向の女性
主なポイントはフェイスデザインと訴求するアースなボディカラーです。一見「デリカミニ」の車名から、三菱伝統の四駆ミニバン「デリカスターワゴン」や「デリカD:5」の弟分のように見えます。しかし、そこに三菱らしいひとヒネリが加えられているのです。
「具体的にデリカと同じモチーフを入れている部分はありません。バンパーにせよライトにせよ全然違います」(三菱 デザイン本部 プログラムデザインダイレクター・松岡亮介氏)と言うように漠然とデリカ的イメージを感じさせつつディテールは別物。
デリカスターワゴンはラリー競技で知られる三菱らしく、屈強な鉄パイプのガードや古典的丸目フォグランプが印象的でしたが、デリカミニはガード風の樹脂プロテクターでたくましさを主張しつつ、丸目ではなく半丸目LEDヘッドライトでキャラクター性を表現。寝ぼけまなこのかつてないワイルド&キュート路線で女性ユーザーを狙っています。
N-BOXが標準ボディで女性を、N-BOXカスタムで男性ユーザーを狙い、他のSUV風スーパーハイトが主に男性を中心に狙っているとしたら、デリカミニは微妙に女性寄りを狙っている可能性があります。それもアウトドア志向のイマドキな女性を。
事実、独特の仏頂面キュートマスクは他にないインパクトがあり、TVCMで流れるキャンディーズの「年下の男の子」の替え歌からも狙いが透けて見えます。
いま軽スーパーハイトは5年前のスズキ「スペーシア ギア」に続き、昨年ダイハツ「タント ファンクロス」が登場し、SUVデザインが流行りかけていますが、キュートさはさほど感じませんでした。それこそがデリカミニの狙い目なのです。
軽とは思えない本格的な四駆の足回り
新型デリカミニが凄いのはFFと4WDが選べるだけでなく、後者の4WDタイプには軽のジャンルにはなかった四駆専用の足回りを用意していることです。
といっても本格SUVのように最低地上高を200mmなどにはせず、最低限レベルではありますが、4WDモデルに限り他のスーパーハイトワゴンにはない165/60R15サイズの大口径タイヤを使い、車高を10mmほどアップ。微妙ではありますがデコボコ悪路で前後バンパーが地面に擦れにくいようアプローチアングルやデパーチャーアングルという数字も変わっています。
同時に悪路用に開発した4WD専用ショックアブソーバーを備え、駆動力制御のグリップコントロールや下り坂で安心のヒルディセントコントロールも標準装備しています。日常生活シーンが多い軽スーパーハイトなので、極端に悪路を考えたハードな走りにはなっていませんが、このあたりはアウトドアシーンに強い三菱の面目躍如。N-BOXはもちろん、競合SUV風ワゴンに対するアドバンテージを感じさせます。