既存の文章に類似したものがないかの確認は必須

【古川】文章の場合、画像に比べると学習元の個人のテイストのようなものが生成結果に反映されにくい傾向はあると思いますよ。

【酒井】絵の場合、ひと目で「○○さんの絵だ!」とわかる画風などの特徴がありますが、文章の場合はピンポイントで「これは○○さんの文章」と個人を判別できる特徴は現れにくいということですね。

【古川】そうですね。とはいえ、問題が発生する可能性はゼロではないので、生成された文章を使う場合には、既存の文章に類似したものがないかの確認は必須になります。

【酒井】ChatGPTで生成した文章を確認のためにWeb検索した結果、“微妙に似ている文章”が既存のサイトで見つかったとしても、「そっくりではないから権利侵害にはならない」と考えてそのまま使う人もいそうです。

AIだけでなく人間の頭脳も常に誰かの考えに影響される

【古川】そういった問題については、AIで生成したものでも、人間が書いたものでも同じかもしれませんよ。

【酒井】どういうことですか?

【古川】人間が文章を書くときも、その意見や考え方が完全に自分で思いついたものか、それとも本で読んだり誰かに聞いたりしたことの受け売りなのか、はっきりわからないケースは多いと思います。

【酒井】そうですね。“自分が考えていることの元ネタ”なんて、正確に把握しきれないことのほうが多いかもしれません。

【古川】自分のアウトプットが誰かの考えに影響されること自体は、日常で普通に起こっていることだと思います。だからこそ、自分のアイデアが既存のものに似ていないかの確認が必要になります。

【酒井】「世の中に出す前に類似のものがないかを確認する」という作業は、AI生成物だから特別に行うことではないということですね。