首都圏を中心に賃貸の家賃も上昇傾向が続く

首都圏の新築分譲マンションの不動産価格の状況を例に挙げたが、賃貸物件の賃料はどうか。東京カンテイの「三大都市圏・主要都市別/分譲マンション賃料推移(22年・年間版)」によると、2022年の分譲マンションの平均賃料(1m2あたり)は、首都圏が3328円(前年比+1.8%)、近畿圏2098円(〃+6.4%)、中部圏1914円(〃+4.4%)で、首都圏の伸びはやや鈍化傾向にあるものの、近畿圏は5年連続の上昇で2000円台を突破。中部圏も2020年以降4~5%以上の上昇をキープしている。

先日、この4月から、お子さんが社会人として東京都内でひとり暮らしを始めるという家計の相談があり、「数年前に上の子どもの部屋探しをした頃よりも、ずいぶん家賃が上がっていて、びっくりしました。息子の給料では、都内の便利な駅近の物件なんて、とても借りられませんよ」と嘆いていた。

世帯年収ごと新築マンションの物件価格はどれくらい?

以上のように不動産価格や賃料が上昇しているのに対し、賃金上昇はパッとしない。厚生労働省が発表した2023年2月の「毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)」によると、物価上昇を加味した実質賃金は、前年同月比2.6%減。11カ月連続のマイナスだ。基本給や残業代などを合わせた現金給与総額(名目賃金)は、14カ月連続で前年同月を上回っているものの、物価上昇に賃金の伸びが追い付いていない状況が続いている。

給料が上がっていないということは、マイホーム購入希望者の物件の予算もこれまでとそう変わらない。物件価格が上がり、給料も上がる見込み薄なら、希望する物件のエリアや広さ、間取りなどを見直して、物件価格を下げざるを得ない。

首都圏の新築マンション契約者(ファミリー世帯)は、どれくらいの年収でどのような物件を購入しているのだろうか。

リクルートの「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」のファミリー世帯年収別データによると、平均年収600万円未満世帯は物件価格4071万円、600万~800万円未満世帯は4474万円、800万~1000万円未満世帯は4927万円、1000万~1200万円未満世帯は5507万円、1200万円以上世帯は6650万円となっている(【図表2】参照)。

※出所:「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」(2023年3月15日)リクルート