富裕層はどんな人物で、どんな暮らしをしているのか。元東京国税局の国税専門官でフリーライターの小林義崇さんは「約10年間、相続税調査に携わり、億単位の資産を持つ方の自宅を訪問しましたが、大半の人が何か特殊なことをして資産を蓄えたというより、節度を持って生活をしてきた結果として金銭的な余裕を持つに至った方々です」という――。

※本稿は、小林義崇『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

アタッシュケースにぎっしり詰まった札束
写真=iStock.com/gyro
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イメージとはまったく違う富裕層の実態

「富裕層」と聞くと、どんなイメージが浮かぶでしょうか?

高級ブランドのファッションに身を包み、自宅のガレージに何台もの外車が並び、アーリーリタイアを果たして頻繁に海外旅行に出かける――。

もし、あなたが富裕層に対してそのようなイメージを抱いているのであれば、事実とはまったく異なります。むしろ生活ぶりは質素で、服装も極めて普通。一見しただけでは、富裕層と一般の人を見分けることはできません。

これが、東京国税局で相続税調査を担当し、数多くの富裕層に接する機会を得た私が、最初に驚いたことでもありました。

それまでの私は、母子家庭に育ち経済的に恵まれなかったこともあり、富裕層を遠い存在に感じていました。

大学卒業まで暮らした地元の福岡を離れて、東京国税局に就職する決断をしたのは、金銭的な理由によります。

高校・大学と合計1000万円に迫る奨学金(一部有利子)の返済義務を背負ってしまった私は、社会人になるにあたって「安定的な収入を得る必要がある」と考えました。

そこで公務員になることを目指し、大学時代に独学で、国家公務員II種と国税専門官の試験勉強をして合格することができました。そして、福岡の役所に勤めることもできたのですが、親元を離れて上京することを決断したのです。

それには、こんな理由がありました。