いよいよ始まるもう一つの重要な儀式
卒業証書授与のあとは、学校長式辞、総理訓示、防衛大臣訓示、来賓代表祝辞、卒業生代表答辞、学生歌斉唱(防大に校歌はない)、閉式の辞、そして最後に学生解散で帽子投げとなる。
このときの代表学生の決め台詞が聞かせるのだ。毎年代表学生によって異なるが、前口上があって、最後に「さらば同期、部隊でまた会おう。学生解散!」といった調子だ。以前は学位授与機構長による学士号授与の儀式があったが、総理の滞在時間が延びたので、節約のため「独立行政法人大学改革支援・学位授与機構より認定されている」旨のアナウンスのみとなっている。
そして時間を置いてから卒業生たちが会場に戻り、もう一つの重要な儀式である自衛官任命・宣誓式が始まる。総理が再入場し、一般幹部候補生の任命・宣誓となる。陸・海・空の各幕僚長が卒業したばかりの学生たちを曹長に任命し、これに対して陸・海・空の新曹長たちを中心に、全員で「……事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえることを誓います」と宣誓する。
「教師としての幸せの瞬間」
このあと総理は帰られるが、場所を移して在校生たちによる歓送の観閲式となる。観閲官は防衛大臣、学校長は執行者となる。真新しい自衛官の制服を着て整列した卒業生たちの前を在校生たちが行進し、観閲官に拝謁する。その準備の間、いつものように陸・海・空の回転翼と固定翼の航空機が列を組んで防大上空を祝賀飛行で通過する。
それが終わると、午餐会となる。卒業生とその家族、学校教職員と来賓などとともに食事をつまみながらの歓談の機会だ。一連の儀礼の式典が終わり、全身の力が抜ける瞬間だ。卒業生がご両親などと一緒に次々と挨拶にやってきて、記念撮影や握手やハグ、教師としての幸せを感じる瞬間でもある。
午餐会のあとも行事は続く。卒業生を教職員と在校生で見送るための行事があるのだ。このときはすでに学校関係者以外は皆さん離校しており、最後に仲間内で感傷的になる瞬間だ。学生舎から正門まで学生と教職員で花道をつくり、陸・海・空に分かれてその間を歩いていく。