データの適切な保護と運用体制が求められる

ある意味、アップルの預金サービス開始は、ビッグデータの重要性が一段と高まり、その獲得のために金融ビジネスに妙味がある、という旗印を世界のIT先端企業に示した。アップルに続けとばかりに預金、資金運用など金融分野での事業運営体制を強化し、ユーザーを囲い込んでシェアを高めようとする企業は増えるだろう。

重要なポイントは、人々の生活の利便性の向上と、信頼、安心できるデータ保護体制の整備バランスだ。近年の世界経済ではサイバー攻撃などによって企業が管理していた個人のデータが社外に流出するケースは増えている。犯罪や社会心理への影響など、わたしたちの生活に負の影響が及ぶ可能性は高まる。

今後の展開次第では、アップルの預金サービスはそうしたリスクを一段と押し上げる恐れもある。デジタル化の加速とともに金融ビジネスなどがIT分野に流れ出ることは止められない。それに合わせて、個人のデータ保護、問題発生時の対応方法などを社会全体で議論し、データの世紀にふさわしい法規制を整備する重要性は急速に高まっている。

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