結婚10年前後にぶち当たる「夫婦関係の壁」

続いて、「夫婦関係の壁」について考えてみましょう。

「40歳の壁」(中年期特有の心理的危機、中高年が陥る鬱病や不安障害のことで、30代後半〜50代にかけて陥りやすいミッドライフクライシス)にぶつかるのは、結婚してから10年前後。いろいろな悩みが小さな「石」となり、積み重なってできてくるのが「夫婦関係の壁」です。

小さな「石」とは、価値観のすれ違い、子育ての方針の違い、家事育児分担の不満、それらを解決せずに放置した違和感やズレなどです。

たとえば、冷蔵庫を買い換えたい妻と、それより車を買い換えたい夫で意見が分かれたとします。

妻「日常的に使う冷蔵庫が先でしょう」
夫「いや、家族の思い出につながる車がいいよ」

結局、どちらかが折れるものの、心の底では納得していない。似たようなエピソードは、どの夫婦にも山ほどあるはずです。

結婚生活におけるこういった些末なことを、繰り返しすり合わせて夫婦の絆を深めていくのが理想ですが、すり合わせられないまま「石」として足元に転がっていることもよくあります。そのまま踏み続けて砂になり、消えていくこともあれば、他の石とくっついて巨大化することもある。さらに厄介なのが、不満という名のセメントが流れ込んで岩盤化したり、自分を守る防波堤にするために自らが石を強固に固めてしまったりすることもあるということ。

各家庭によって石の種類、壁の高さや厚さも違いますが、アラフォーともなれば一緒に過ごした時間に比例して、石が積み重なって壁となり、存在感も増してきているはずです(図表1)。

夫婦関係にまつわる悩みは多い

私の質問箱(匿名で質問をする&質問を受け取れるオンラインのサービス)には、日々いろいろな悩みが飛び込んできます。これまで1500件以上の質問に回答してきました。

夫婦関係にまつわる悩みも多く寄せられます。価値観のすれ違い、家事育児分担の不満、子育ての方針の違い、セックスレス、自分のキャリアはどうなる問題……。わかるよ、わかる。私も結婚11年目。石を蹴飛ばしたり、積み上がった石の壁を乗り越えたりして、ここまでなんとかやってきたのです。