投資は企業経営のようなもの
ところが、経営者がやっていることは、普通の会社員にはなかなか理解できないと思います。もちろん頭の中ではわかっているかもしれませんが、実感として感じることはないでしょう。なぜなら、経営者の視点でものごとを見ることはありませんし、経営者であるがゆえに起こり得ることも体験できないからです。
たとえば、自分で商売をしたり、会社を経営したことがある人なら、資金繰りが行き詰まったりする時の恐怖感はよくわかると思いますが、会社員にはそれを理解しろといっても無理でしょう。逆に、自分がリスクを取って判断し、それが成功した時の高揚感も味わうことはできないと思います。
したがって、企業経営と投資が同じ感覚であるとすれば、経営者の視点で判断することのない会社員にとっては、自分での投資の経験がない限り、投資家の視点も理解できないということになります。
このように考えていくと、「投資の儲けが不労所得だ」と考えてしまう人が多いのも、うなずけます。「汗水垂らして働くのではなく、一発当てれば儲かるんでしょ? だったらそれって不労所得だよね」という感覚なのだろうと思います。
一定の給料が保証されている会社員には実感できない
さらにいえば、株式投資は博打のようなものだという思い込みもあるでしょう。たしかに株式投資は、やり方によっては投機的な面があることは事実ですが、それはすべてのビジネスで同じです。自分で考え、分析して資本を投下する。状況に応じてさらに資金を注ぎ込んだり、逆に撤退したりすることも起こり得ます。それでも100%うまくいくという保証はないのです。
これについては、私もかつてサラリーマンをしていたのでわかりますが、仕事の成果がよくても悪くても決まった給料がもらえる会社員の立場では、自分の判断で結果の成否とそれに伴う報酬の多寡が決まるということが、なかなか実感できません。
でも、利益というものは、そういう不確実性=リスクの対価として生まれてくるものなのです。その本質が理解できていなければ、「投資の儲けは不労所得だ」と思うのも無理はありません。