自己肯定感が低い人ほど最後まで話を聞けない理由

「話を最後まで聞いてもらえない……」「話の途中で遮られてしまう……」「自分の話に被せて何か言ってくる……」などと会話の中で嫌な気持ちになったことはありませんか?

聞き方のあいうえおの「お」の5番目、「終わりまで聞く」は、人の話を遮らないことです。なぜ、話を最後まで聞くという一見簡単そうなことを、できない人が多いのでしょうか?

Aさんは、社内の人がトラブルを知らせようとすると、話を最後まで聞かず「あぁ、もう全部わかっていますから! いいです!」と話を遮ります。

これは、「自分のミスを指摘されるのではないか?」と不安になり、相手から攻撃されないように防御しているのです。相手は、単にトラブルに関する報告がしたかっただけです。

しかし、話を遮られることで、自分の存在を蔑ろにされたように感じて嫌な思いをします。だからAさんは社内で疎まれてしまっています。

Aさんは一見、偉そうに見えますが、実は「自分が責められないように防御しなくては!」と常に怯えているのです。

つまり、他者に怯え、自己肯定感(=自分を大切に思う気持ち)が低い人ほど、人の話が聞けないのです。だから、最後まで人の話を聞くためには、自己肯定感を上げることも必要です。

Bさんは部下の話の途中で急に早口になり、「要は、こういうことですよね?」とイライラしたように相手の話を遮ります。

この言い方は「そんなこと長々と話さなくてもわかるよ。こういうことでしょ」と言いたげで、部下は「仕事ができない奴だなぁ」と言われたように感じ、仕事へのモチベーションが下がっていました。

藤本梨恵子『なぜか感じがいい人の聞き方 100の習慣』(明日香出版社)

Bさんは頭の回転が速いため、相手の話を先読みして、さっさと結論を言わないことにイライラしてしまうのです。人は思考の速度が会話のテンポに現れます。テンポが速い人は、遅い人にイライラします。

しかし、本当に相手に良いパフォーマンスを発揮してもらおうと思ったら、相手のペースに合わせて最後まで話を聞き、相手の自己重要感を育てていくことが大切です。

相手にプレッシャーをかけて能力を発揮しづらくするのではなく、パフォーマンスが上がるように話を聞いた方が、結局は上司自身の仕事の負担を減らし、社内の評価も上がります。だから仕事ができる人は聞き上手なのです。

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