営業や接客業の成績上位者は「アイコンタクト」で敬意を払う

聞き方のあいうえおの1番目、「あ」の「相手を見て」は、相手に視線を向け、あなたの話に興味がありますと伝えることです。

「目は口ほどにモノを言う」ともいい、視線が合う回数が多いほど好感度が上がるという実験データもあります。

以前の職場で、下を向きながら誰とも目を合わせず挨拶する人がいました。挨拶はしているものの印象が悪く、雑談や仕事の話につながることもないため、情報交換や親密になるチャンスを逃すもったいない習慣です。

客室乗務員の新人研修では、視線の使い方を教育されます。まず機内をゆっくり歩き、「何かご用はございませんか?」と心の中で呟きながら、乗客一人一人に目を合わせることで、お客様が声をかけやすい雰囲気をつくります。

さらに、目線を目→モノ→目の順に移動させ、動作の最後にもう一度お客様と目を合わせる「ラストアイコンタクト」も忘れません。

たとえば、お客様にコーヒーを注文されたら、「コーヒーでございます」と目を見て、コーヒーに目を移してテーブルに置き、最後にもう一度お客様を見て微笑み「ごゆっくりどうぞ」と伝えます。お客様を大切にしていることが伝わり、お客様からも「ありがとう」と言われることが増えます。

営業や接客業で成績が上位の人は、「ラストアイコンタクト」が上手です。挨拶は「語先後礼」といい、言葉が先、動作を後に行うのが基本です。「ありがとうございます」と言いながらお辞儀をする「同時礼」は、マナー違反です。

感じのいい人は、①相手を見る、②「ありがとうございます」と言い終えてからお辞儀をする、③頭を上げて再度相手を見るというように、普段の挨拶にも「ラストアイコンタクト」を取り入れています。

目が合わない人は、自信のない印象を与えます。目を見ると緊張して話せない人は、相手のネクタイなど首元を見るようにすると、相手からは目が合っているように感じるのでオススメです。

一方、相手を凝視するのは生物にとって、威嚇や闘争心を示す行為なので不快に感じます。レストランなら、一緒にメニューや内装を見ながら「洒落たランプだね」などと適度に視線を外して話すことで、緊張感も生まれず、良い雰囲気になります。

すべては視線の使い方なのです。視線を向けることで相手の「聞いてもらえた感」を高めることは、満足感を高め、あなたの好感度を高めることにつながります。

前傾姿勢で「あなたの話に興味津々です」を伝える

知らない人ばかりの集まりなどで居心地が悪いと感じたとき、無意識に足や腕を組んでいた経験はありませんか?

これは、相手に「私はあなたに対して心を閉じています」というメッセージを発信しています。人間には安心・安全欲求があります。危険から自分の身を守りたいのです。

だから、自分が知らない人たちや意見が合わない人から攻撃されないように警戒します。その警戒心が無意識に腕や足を組む行為となってあらわれるのです。

聞き方のあいうえおの2番目、「い」の「いい姿勢」は、腕や足を組まず、やや前傾で、正対(顔だけでなく、おへそを相手に向ける姿勢)して話を聞くことです。

「身を乗り出して聞く」という表現がありますが、人は何かに強い興味を持つと、前傾姿勢になります。だから、前傾姿勢は何も言われなくても「あなたの話に興味津々です」と伝えることができるのです。反対に、興味を失った瞬間に後傾姿勢になります。

私が担当したカウンセラー養成講座の受講生の中に、話を聞くときに、無意識にやや反り返る姿勢になってしまい、なんだか相手を避けているように見える方がいました。これでは相手の話す気が失せてしまいます。

ビジネスでも、相手が椅子にもたれかかっている、または少し肩や上体を引き気味にしているなら、「興味なし」のサインが出ていますので、交渉は難航することが多いはずです。

他にも、人の話を聞くときに腕や足を組む、首を傾ける、眉毛がハの字になるなどの癖は、相手に不快感を与えてしまいます。一度上司や友人などに動画を撮ってもらったり、フィードバックしてもらったりするのがオススメです。