相手の心を開くコツはあるか。カウンセラーの藤本梨恵子さんは「人には利き感覚があり、それによって最適な接し方は異なる。明石家さんまさんのような、頭の中で映像を処理し大量の視覚情報を早口で話すタイプの人は、見晴らしが良い空間で話すと気分が良くなり会話が弾みます。反対に、薄汚れたお店に誘うとテンションが下がってしまうので注意しましょう」という――。

※本稿は、藤本梨恵子『なぜか感じがいい人の聞き方 100の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

オフィス内で、上司と部下の話し合い
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引き寄せるのではなく、寄り添う

相手と意思疎通を図る方法に、「ペース&リード」というものがあります。

ペース(ペーシング)は相手に合わせることで、リード(リーディング)は相手を導くことです。

たとえば、教室の前で子どもたちが騒いでいたとして、「授業始まっているよ! 早く教室へ入りなさい!」と突然リードをしても、子どもたちは騒ぎ続けてなかなか教室に入りません。

しかし、ペーシングで、「なんか、楽しそうだね?」と子どもたちと一緒の目線で言ってから、「でも、もう授業が始まる時間だから、教室に入ろうね!」と言うと、子どもたちは素直に教室に入ります。

このように、先にペーシングで相手を安心させ、次にリーディング=導いていくのが「ペース&リード」の基本です。

徹底した相手目線がなければ、人は心を開きません。強引にこちらに引き寄せるのではなく、相手の立場に寄り添うのです。

話の聞き方も同様です。悩んで、元気なく話している相手に、「何? 元気ないじゃん! 大丈夫⁉」とハイテンションで話を聞くのはディスペーシング(=反同調行動)です。これでは、安心感は生まれません。

最終的に励まし、勇気づけるつもりでも、まずはペーシングで相手に心模様も仕草や雰囲気も合わせることが大切なのです。相手が心を開いていなければ、導くことができないからです。

元気のない相手には最初は「大丈夫? 話を聞くことぐらいしかできないけど、何でも話して」と落ち着いた雰囲気でペーシングします。

話を聞きながらラポール(=信頼関係)が十分できた、相手に少し元気が出てきたと感じたら、相手の表情を見ながら自分が少しずつ笑顔を増やしたり、声にハリを持たせるなど、リードしていくことが大切です。

いつも、ペーシングで相手の気持ちに寄り添って聞くことが先でなければ、こちらが何を伝えても相手に響かないのです。

ペーシングなしで、リーディングは不可能と知ろう!