相手の利き感覚に合わせる
あなたの利き手は右手でしょうか? 左手でしょうか?
利き手があるように私たちには、利き足もあります。利き足は、普段、最初に踏み出す方、後ろから押されてとっさに前に出る方の足だと言われています。
では、なぜ私たちは手や足、目も2つあるのに、よく使うのは一方に偏っているのでしょうか?
それは、意識と無意識に関係しています。意識と無意識の割合は諸説ありますが、1:9などで無意識が優位です。
意識はいつも1つのことしか捉えることができません。だから、この本を読むという行動をとっていると、空調の音や座っている椅子の感覚を得ることができません。
では耳やお尻の感覚が麻痺していたかといえば、そうではありません。意識が文字を読むという1つのことに集中しているとき、他の五感で感じていることはすべて無意識に落ちていきます。
パソコンでできることはかなりたくさんありますが、エクセルで入力作業をしていると、裏でブラウザやワードを立ち上げることはできても、エクセルとワードの入力作業を同時にできないのと同じです。
だから、手や足が2つあっても、意識がどちらか1つしか捉えることができないので、偏った使い方になり、利き手、利き足、利き目が生まれるのです。
私たちは世界を、五感を使って理解しています。脳で理解していると考えがちですが、脳は五感がなければ機能しません。
たとえば映画館でも、映画がスクリーンに投影されなければ真っ暗なままであるように、脳も目を開けることで様々な視覚情報を得ることができるのです。
NLP心理学では五感を視覚(Visual)、聴覚(Auditory)、身体感覚(Kinesthetic)の3つに分類し、代表システム(VAKモデル)と呼んでいます。
利き手があるように、人には使い慣れた利き感覚があります。その感覚を使って、外部情報を認識し、他者とコミュニケーションを取っているのです。
会話をする際に、意思疎通がスムーズに行われるかどうかは、どれぐらい相手の利き感覚に合わせているか(=ペーシングしているか)が影響します。