持ち家でも気軽に引っ越せばいい

【パパ】これが賃貸なら、管理会社に退去日を連絡して、退去の立ち合いをすれば、ササっと出ていける。非常にラクだ。面倒なら賃貸がいい。

【穣一】「家を買ったら身動きが取れなくなる」って聞きますけど、そういうことなんですね。

【パパ】それはむしろ、心理的なものだと思うけどね。日本人は“終の棲家”みたいな発想が強いから、家を買ったらかんたんには引っ越しできないような気がするだけさ。でも、家も「自分の人生を豊かにするための道具」だと考えれば、必要なら気軽に引っ越せばいいと思うんだけど。それに、経済的な損得を考えれば、持ち家が最もトクになるんだよ。穣一くんは勤続3年だから、そろそろ住宅ローンも組めるだろうしね。

【穣一】僕の同僚は、一生賃貸だって言ってます。この不安定な時代に高額の住宅ローンを抱えるなんて、ハイリスクだと。

【パパ】雇用や収入が不安定な人ならね。たしかに、いつウツになったりして休職するかわからないという不安もあるだろう。でも、たとえば家賃が月10万円なら年間120万円、2年ごとの更新料が月1カ月分とすれば、10年で1300万円。30年で3900万円。

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住宅ローンは老後の住居費の“前払い”

【穣一】そんな金額に! 家賃で家買えちゃいますよね。

【パパ】1人ならもっと小さな物件でいいけれど、結婚して子どもが増えれば広い家が必要だから、家賃ももっとかかるかもしれない。けれども、これらは垂れ流されるだけで、何も残らない。

【穣一】やっぱりもったいない……。

【パパ】特に効いてくるのが老後だ。もし生涯賃貸なら、年金や貯金の中から家賃を払わないといけない。田舎ならともかく、都市部だとけっこうキツイんじゃないかな。一方、持ち家なら、住宅ローンを完済すれば、住居費はほとんどかからない。もちろん、毎年の固定資産税はかかるし、古くなれば修繕費もかかるけれども、修繕は時期も内容も自分で選べるし。

【穣一】住宅ローンを抱えるのも不安ですけど、老後も不安はありますね……。

【パパ】やはり老後に住居費が少ないとか、何かあっても住む場所は確保できるのは、心理的にも安心だと思うよ。そう考えれば、住宅ローンは、老後の住居費の前払いみたいな感じだね。