過剰人員を抱える企業のリストラはさらに進む
リスクを取りすぎた投資家や金融機関、事業法人が環境変化に耐えきれず破綻するなどするのは、過去にも繰り返された。1990年代以降の世界経済では、主要国の景気先行き不透明感が高まると中央銀行は利下げなど金融緩和を強化してきた。
しかし、足許の状況は大きく異なる。世界的にインフレ圧力は依然として強い。主要先進国の中央銀行にとって利下げは難しい。慎重に政策金利は追加的に引き上げられる、あるいは高い水準に据え置かれる公算は高い。それによって過剰人員、過剰設備を抱えるIT先端分野などの企業のリストラはさらに強化されるだろう。
今すぐではないにせよ、投資銀行業務を強化して成長期待が高いIT企業などとの取引を強化した欧州などの金融機関の経営不安は高まりやすい。3月に入って以降の欧米の金融機関の経営不安やIT先端大手企業の追加人員削減は、世界経済の先行き不透明感が一段と高まっていることの裏返しといえる。