日本にも押し寄せる米テック企業のレイオフの波
米テック企業のレイオフの波が日本にも押し寄せているようだ。それに対して、グーグル日本法人で働く従業員らが労働組合を結成して団体交渉に臨んでいるというニュースも話題になっている。
外資系企業がおしなべて同じとは言わないが、特にテック企業は景気が良いときには事業ニーズに応えるべく人員を急拡大する一方で、景気後退局面では大きな人員削減を行うのは過去から現在に至るまで普通に行われてきたことだ。
ブランド認知度も高いし、報酬も高い。だが、好景気時には見えない外資系企業の負の側面を知って入社する必要があるということだ。彼らは、“Talent on Demand”、つまり「必要な時に必要な人材を採ってくる」がビジネスの基本となっている。ということは、Demandがなくなれば削減するというのが当然だということだ。
これは外資系の話で日本企業に勤める社員には関係のないことかというと、そうも言っていられなくなっている。コロナ禍以来すっかりリストラの話題は出ていないが、金融機関や政府支援によって、本来は倒産しているはずのゾンビ企業が数多あると言われており、今後も持ちこたえられる保証は全くない。
社員による「自律的なキャリア形成」の支援が必要
また収益が十分に確保されている企業にとって、喫緊の課題となっているのが「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書」、通称「人材版伊藤レポート」及びそれによって推進すべき「人的資本経営」への対応だ。よくご存じない方もネット検索すればいくらでも説明が出てくるので、ここではポイントだけお伝えしたい。
人的資本経営とは、人材を資源ではなく、資本として捉え、企業が価値創造を行い成長するためには、人材の採用や育成は企業に欠かせない投資の一環であると考える経営のことだ。
人材版伊藤レポートは、マネジメントの方向性も「管理」から人材の成長を通じた「価値創造」へと変わり、人材に投じる資金は価値創造に向けた「投資」となる、そのためには社員による「自律的なキャリア形成」の支援が必要ということを明確に謳っている。