「国民の責任」を求めるわりに説明が足りていない

ロケットは地上から上がれば仕事が終わるわけではない。さらに30分ほど飛行して、衛星を予定の軌道に届けたことを確認できて初めて、技術者もようやく「成功」を宣言する。

ロケットがどの段階まで進めば、「成功」なのか、「失敗」とはどういうことを指すのか。こうした点についての知識や説明がもっと必要だと感じる。

2003年の「H2A」の失敗の後、文科省の有識者会議では、「国民にロケットの抱えるリスクを理解してもらわないといけない」という議論がさかんに行われた。「国民への責任」よりも、「国民の責任」を求める論理に違和感を覚えたが、有識者会議の報告書は「国民側も理解や関心を深めることが必要」と注文をつけた。

その具体策について、当時文科省は「今後、検討する」と述べるにとどめていた。

それから20年たった今もなお、そのための知識提供や広報活動が不足している。

ロケットの打ち上がる姿は勇壮で魅力的だが、そのためだけに巨費を投じて開発するわけではない。打ち上げ花火ではないのだ。ロケットや宇宙開発への夢を語るだけではなく、目的や成否の判断基準などももっと明確に示すべきだろう。

今回の失敗の教訓のひとつだと思う。

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