熟睡、清潔、空間活用の3拍子がそろっている

せまい日本の住宅で古くから愛用されている布団は、スペースを有効活用できるという強みもある。これが3つ目の利点だ。日中は和室を皆が集うリビングとして活用し、夜になると寝室に早変わりという技が可能だ。

欧米でもベッドに占領されたスペースを何とかしたいという意識はあり、「マーフィーベッド」と呼ばれる変わり種ベッドが開発されている。日中はベッドを跳ね上げ、壁面に固定しておくという手の込んだ解決策だ

しかし、あまり広く市民権を得るには至っていない。高価になりがちなことに加え、構造上の強度にも不安が残ることなどから敬遠されているようだ。

これに対して布団は、折りたためる寝具を床に並べるというシンプルな造りだ。それでありながら、熟睡でき、身体の安定性に優れ、適度に熱を逃がし、そして清潔かつ空間も有効活用できるメリットがある。

こうした利点から、ベッドが主流のアメリカなどでも、布団が寝具の選択肢のひとつとして成立しているようだ。

写真=iStock.com/Kayoko Hayashi
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海外で「布団派」がじわり広がっている

ベッドと比較してメジャーな存在とはまでは決して言えないまでも、小売り大手のウォルマートでも豊富な品数が揃う。日本の敷布団と同等の商品から、厚みからしてややマットレスに近いものまでを含めると、その数は優に100種類を超える。

まだまだ床に寝ることに抵抗感があるという人々も多いなか、好みや体格によっては、むしろ布団の方がよく眠れると気づく人々がいるのだろう。

布団がベッドよりも一様に優れているというわけではないが、長くベッドに親しんできた欧米の人々のなかにも、自身のスタイルには布団の方がぴったりだと感じる人々が出ているようだ。

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