外国人が布団に魅了される3つの理由

旅館での新鮮な布団体験はもとより、欧米でも一部の人々は、前掲のようにあえて布団を日常生活に取り入れている。布団愛用者の人々は、どのような点に魅力を感じているのだろか。実際の利用者の声に耳を傾けると、ベッドとは異なる3つのポイントが訴求しているようだ。

1点目は、眠りの深さだ。日本で1年間布団を愛用したシュリーさんも、もう2年も布団で眠っているというルボウさんも、そして里山で布団に寝泊まりした不眠症のソーンバーさんでさえ、人生で最高の眠りを味わったと口をそろえている。

カリフォルニア州ニューポートビーチの神経外科医であるアリ・メシワラ医師は、ヘルスラインに対し、布団は硬く、なおかつ身体をサポートする力があると説明している。このため、体圧が偏り不快な圧迫点を生じることが少なく、背骨が自然な状態に並びやすいのだという。

さらに、体圧の分散とは別に、体温の調整にも利点があるようだ。米女性向け雑誌のウーマンズ・ワールドは、日本の敷布団には春夏で枚数を調節できる利点があり、さらに床に接することから、余分な熱がこもらない利点があると説明している。

自然と眠りに落ちるためには、深部体温がある程度低くなっている状態が理想とされる。この点、床にじかに敷かれる敷布団は、熱の発散に優れるようだ。

2007年10月8日、箱根園周辺の旅館にて。和室に敷かれた二揃いの布団(写真=Micha L. Rieser/Wikimedia Commons

上げ下げの手間は掛かるが、ベッドよりも衛生的

布団が欧米でも愛好者を生んでいる理由の2点目として、手入れがしやすく衛生的に保ちやすいことが挙げられる。

日本で1年間布団を愛用したシュリーさんは、ベッドと異なり上げ下ろしが必要な布団について、「むしろ、手入れがしやすいんです」と語る。

彼女は記事を通じ、アメリカの読者向けに、日本では布団をベランダの手すりに掛けて干す文化があると紹介している。シュリーさん自身も日本滞在中に実践し、夫と一緒に毎週のように布団を干していたのだという。

「手間ではありますが、なんだかんだ言っても、甘い香りとフレッシュな感触のベッドでくつろげることを考えると、その価値はあります」

ヘルスラインも同様に、「こうすることで太陽により繊維が乾き、細菌やダニを駆除することができます」と解説している。重さ数十キロにもなるベッドのマットレスを干すことはかなり難しいため、手軽な天日干しは布団ならではの利点と言えるだろう。

衛生面ではもうひとつ、ベッド下にホコリがまらないという利点がある。家の死角に溜まるホコリの塊は、ふわふわのウサギに例えてアメリカで俗に「ダストバニー」と呼ばれる。

シュリーさんの場合は布団での生活中、ベッド下から漂うダストバニーを目撃することがめっきりなくなったとして満足していたようだ。