便利な道具で行動のハードルを下げよう

幸せな高齢者になるためには、「意欲を持って行動すること」。

それが本書における最大のテーマです。

ただ、「意欲を持って行動すること」の大きな障害となるのが「面倒くさい」「厄介」という気持ちです。機能が衰えた状態を放置していると、行動も制限されてしまいます。

だからこそ、いつでも自分が心理的、身体的負担がなく行動できる環境を整えるために、あらゆる手段に頼って行動のハードルを下げておくことが大切なのです。

世の中には、高齢者にとって便利な道具がたくさんあります。

写真=iStock.com/BackyardProduction
※写真はイメージです

老眼鏡や補聴器などはその最たるものでしょう。以前は、「年寄りくさくて嫌だ」と拒む人も多かったのですが、最近は性能がよく、見た目もオシャレなものが増えています。

誰にでも老化現象は平等に訪れます。老化現象が起こって、日常生活になんらかの支障をきたすのであれば、対策を立てればいいだけです。

私が大人用のオムツを使い始めた事情

私自身が最近、真剣に導入を考えているのがオムツです。

私は2年ほど前に心不全を患ったため、現在、心臓への負担を減らすために利尿剤を飲んでいます。そのため、トイレに行く回数が増えた上、以前ほど尿意をコントロールできなくなりました。

日常生活の中ではトイレの回数が多くてもさほど困ることはありませんが、車の運転をしているときに尿意に襲われるとつい焦ってしまいます。高速道路などに一度入ってしまうと、なかなかトイレは見つからないので、「いまこのタイミングに尿意が訪れたらどうしようか」とヒヤヒヤの連続です。

時には運転に集中できないほどの尿意に襲われることがあり、「危ないな」と感じることもあります。

そこで、対策方法として思いついたのが、大人用のオムツを活用することです。実際、長距離のドライブのときは使っています。

最初は、「オムツをするなんていかにも年寄りになったみたいで嫌だ」と思っていたのですが、いざ最初の抵抗感さえ飛び越えてしまえば、あとは快適に過ごせるものです。