古川家も家族旅行が家計を圧迫しているようだ。古川氏は週末のたびにインターネットで次の旅行の計画を練る。一回当たりの出費は15万円前後。行き先は海外も少なくない。昨年は海外だけでもハワイ、グアム、中国と3カ所に行った。冬には月2回のペースでスキー場に通う。費用が比較的安く済むのは、古川氏が航空会社の上級会員資格を持っているからだ。特典航空券の取得が容易なため、週末のたびにネットで空席を探し、「せっかくチケットが取れたのだから」とホテルを手配する。古川氏は、「旅行貧乏といえば旅行貧乏かもしれませんね」と考え込んだ。

毎月の赤字は銀行のカードローンで補填している。クレジットカードの支払いも70万円程度をリボ払いにしており、借金の合計は約200万円。ボーナスで半期ごとに返済してきたが、借金額は増減を繰り返しながら徐々に増えている。しかし、まだ古川氏は慌てていない。カードローンやリボ払い残高の合計額は、「500万円までは許容できるかな」という。

余裕があるのは毎月妻に渡す15万円が貯蓄に回っている可能性があるからだ。航空会社のマイルを貯めるため、スーパーでの支払いなども家族カードで決済しており、妻が生活費を使う場面は少ない。実際、2年前に日本航空株の購入を夫婦で決めたときには、妻が300万円を用立ててくれた。株式投資は失敗に終わったが、イザというときには妻の貯蓄がある――。そう考えながら、具体的な金額は問いただしていない。

「収入がそこそこあって、極端に落ちることはないだろうという安心感があるからですね。外資系のように『明日から来なくていい』と言われる恐怖感もないですから」

2人の口から出た、似たような言葉が印象に残る。

「赤字に対する緊張感はありますが、40代でしかできないこともある。いましかできないことは、お金には代えられない」(石山氏)

「旅行を我慢すれば楽になるとは思いますよ。でも、我慢して我慢してお金を貯めて、さあこれからというときに死んでしまったら、何のための人生だったのか」(古川氏)

自分だけの贅沢など少しも考えないという2人は、赤字を解消する手立てについて今日も思案を巡らせている。

※すべて雑誌掲載当時

(プレジデント編集部=撮影)
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