水道水とペットボトル水の美味しさは同程度

ペットボトル水は水道水よりも、本当に美味しいのか。

実際に、2017年、東京都水道局が約3万人を対象に目隠しテストを行ったところ、ペットボトル水(ミネラルウォーター)のほうが美味しいと答えた人は41%、水道水のほうが美味しいと答えた人は39.1%、どちらも美味しいと答えた人は19.8%であった(*2)。東京都の人々が出した結論は、ペットボトル水(ミネラルウォーター)と水道水の美味しさは同じ程度、ということ。

ミネラルウォーターと水道水の味は、変わらない(出所=『「健康神話」を科学的に検証する』p.182)

では、ペットボトル水は、水道水よりも健康にいいのか。多くのペットボトル水は、湧水ゆうすい、井戸水、温泉水、氷河、地下水などの飲料水であるが、その源は川や沼の水を浄化してつくられた水道水と変わらない。すなわち、ペットボトル水も水道水も、その源は同じ、川や沼の水である。

水を研究するアメリカの非営利団体パシフィック研究所の所長ヒーザー・クーリー氏は「ボトルに入った水は精製されたものかもしれないが、やはり水道水である」と明解に述べている。

(*2)東京都水道局「東京水飲み比べキャンペーン」2017年度実施結果より。3万613人に聞き取り調査。

水道水には厳格な品質基準が求められている

水道水は、川や沼の水を塩素で殺菌してつくられる。日本と同じようにアメリカでも水道水は公営事業である。アメリカで水道水とペットボトル水は異なる機関で規制されている。

水道水はEPA(米環境保護庁)の管理下にあって、水質を検査するのはEPAである。一方、ペットボトル水はFDAが管理しているものの、水質を検査するのは業者自らである。当然、安全性のチェックは、EPAが検査する水道水のほうが、業者自らが検査するペットボトル水よりも厳しい。また、水道水の汚染が発生した場合は、国民にすみやかに公表しなければならないが、ペットボトル水にはこれが当てはまらず、汚染が発生しても多くの場合、公表されない。

日本ではどうか? 日本の水道水は、厚労省が「水道法」で管理している。一般細菌、大腸菌、カドミウム、水銀、鉛、六価クロムなどの重金属、シアン化物、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、ベンゼンなど51の有害物質を対象に基準値が定められている。この厳しい基準をクリアしないと水道水として認められない。