腎機能が低下しても自覚症状が現れにくいことから「沈黙の臓器」と呼ばれる腎臓。異変に気付くためにはどうすればいいか。鳥取大学医学部附属病院第二内科診療科群・腎臓内科長の高田知朗さんは「腎機能が低下すると身体に兆候が出る。靴下の跡がつきやすいと感じた人は要注意だ」という――。
※本稿は、鳥取大学医学部附属病院広報誌『カニジル 12杯目』の一部を再編集したものです。
沈黙の臓器・腎臓の知られざる姿
腎臓は肝臓とともに沈黙の臓器と呼ばれる。その機能が著しく低下し、症状が進んでからしか気がつかない。医師にかかったときはすでに末期症状に入っていることが多いという意味だ。
「私たちは普段当たり前のようにご飯を食べて、飲み物を口にしています。その中から腎臓で身体に必要な物質は残して、不要な物質は捨てる。腎臓はフィルターのようなもの。正常に機能しなくなると、身体の中に毒が溜まっていくと考えてください」
隠れていますけど、非常に大事な臓器なのですと語るのは鳥取大学医学部附属病院、第二内科診療科群・腎臓内科長の高田知朗である。
腎臓は腰の上部の背中側に位置する。背骨を挟んで左右に1つずつ、握りこぶしより一回り大きく、そら豆のような形をしている。心臓から送り出される血液の約4分の1が腎臓に流れ込む。血液は「糸球体」でろ過されて、「原尿」となる。
糸球体は毛細血管の塊である。糸球体を包む「ボウマン嚢」が原尿を集めて「尿細管」に送る。「尿細管」は原尿を通す際、必要な水分や栄養を再吸収する。身体に水分が足りないときは多めに吸収するといった具合だ。
残りは老廃物として排出。この糸球体とボウマン嚢、尿細管を合わせて「ネフロン」と呼ぶ。