「なんでこの問題はそう解くのか」考える

最後に、新傾向の共通テストにしっかり対応できていた生徒の共通項を、樋原さんに聞いた。

「『なんでこの問題は、そう解くのか』を自分の言葉で具体的に説明できる生徒は、初見の問題にも強かったですね。そういう対応力を身に付けるには、『幾何学に王道なし』(有名な数学者・ユークリッドの言葉)の姿勢で、“原理原則”を丁寧に理解しようとすることが大切だと思います」

反対に、数学の解き方を深く考えずに、ただ解法を丸暗記している子は新傾向の共通テストの問題は解けないだろうと樋原さんは言う。算数や数学に苦手意識を持つ子ほど、この問題にはこの公式を当てはめれば答えが出る! というパターン学習をする傾向があるそうだ。そんな勉強法ではもう点が取れなくなっているのが今であり、これからなのである。

「『わからないから、丸暗記しよう!』というのはやめて、なんでこの問題は、このように解くのか? と一問一問、丁寧に考える。先生や友達など第三者に聞かれたときにも、その理由を語れるようにしていく。このクセ付けを小学校のうちから、なるべく早い段階で行うことです。これは、算数や数学だけでなく、理科や社会など、すべての教科に通ずる基本姿勢といえると思います」(樋原さん)

データサイエンスに注目が集まり、算数・数学が重要視されている今、暗記学習では通用しない。多角的に「情報を正しく読み取る力」がますます大切になっているようだ。