若者でも虚弱状態の寸前になる可能性も

2022年11月、テレビ朝日の「羽鳥慎一モーニングショー」にフレイルをテーマに出演しました。このとき指輪っかテストをしたのですが、若い女性アナウンサーから「私、指が重なります。プレフレイル(フレイルの前段階)ですか?」と聞かれました。

中高年のフレイルだけではなく、最近では若い人のプレフレイルも心配しています。「できるだけ筋肉をつけて、タンパク質をしっかりとって、脂肪は増やさないようにして、“貯筋”運動をしましょう」と説明しました。

年に一度とか半年に一度、指輪っかテストをして変化を追いましょう。ふくらはぎが細くなっていれば筋肉が減っている可能性があります。片足立ちで靴下を履けなくなった、椅子から立ち上がるときに「ヨッコイショ」と気合いが必要になった、という自覚症状があれば、筋肉減少の可能性が高いです。

ただし、ふくらはぎが太いからといって安心しきれません。一見しっかりした足でも、筋肉が少なくて脂肪が多い「隠れ肥満」の場合もあります。さらによくないのは、筋肉が著しく減少したサルコペニアの状態なのに、脂肪が覆い隠している「サルコペニア肥満」です。

隠れ肥満やサルコペニア肥満になると、筋肉にも脂肪がついてしまい、筋肉の質も低下します。最近の体重計では、体脂肪率やBMI(体格指数)、筋肉の質などを測定できるものが普及しているので、これらの数値も意識してください。

フレイル予防はメタボ対策にもなっている

筋肉のいいところは、いくつになっても鍛えられること。タンパク質をしっかりとって、ウォーキングや筋トレをする「筋活」をすれば、筋肉は確実についてきます。

筋肉がつくと活発に動けるようになり、体重は同じでも脂肪は減り、しまった体になります。代謝効率もよくなり、半年から1年もすれば脂肪も落ちていくでしょう。フレイル予防の筋活が、まわりまわってメタボ対策にもなれば一石二鳥です。

「タンパク質は肉から」の常識を忘れる

ぼくの健康づくりの大きな柱は、「うまいものを食べて、運動すること」です。うまいもの、つまりタンパク質豊富な食べ物をとって筋肉をつくり、ウォーキングや筋トレをして体を動かすことで、健康はつくられるのです。

けれど、日本人の多くはタンパク質が足りていません。一日に必要なタンパク質は、体重1kg当たり1g以上。ぼくは体重72kgなので、いまの筋肉量を維持するには一日最低でも72gのタンパク質が必要ということです。さらに筋肉量を増やしたい場合は、あと10g多い82gが目標になります。

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タンパク質をたくさん含むのは、魚や肉です。食べられる人はしっかり食べてください。そのうえで、魚や肉だけに頼らず、ほかの食品から少しずつタンパク質を積み上げていくことが大事です。