家族や友人には聞きにくい悩みに応えてくれる

次に、「知りたい・学びたい」ニーズを背景に人気を集めた動画の、2つ目のタイプをご紹介します。僕たちはこれを「学外先生」と名づけてカテゴライズしました。

このタイプに含まれる動画は、学校や身の回りではなかなか質問できない“本当に知りたいこと”を教えてくれる、いわば学校外の先生のような役割を果たしています。

例としては、性器などのデリケートゾーンに関する質問をして回答を募集する「デリケート知恵袋系」、恋愛が進んでいく過程をLINEのトーク画面で見せる「恋愛トーク画面参考系」、異性の目から見て好ましいコーディネートなどを紹介する「異性好みコーデ紹介系」、大学4年生が後輩に向けて発信する「上級生のすゝめ系」などがあります。

いずれも、授業では教わることのできない情報や、友達や家族には聞きにくい情報、他人の恋愛過程などディテールまでは知ることのできない情報を提供するものです。恋をする先輩とのLINEのトーク画面を投稿しているRemiさん(@aruto200011)の動画は、再生回数が130万回を超えるものもありました。Z世代が、「知りたい」の答えをいかにTikTokに求めているかがうかがえます。

「庶民発想」に共感が集まる

バズった動画の3つ目のタイプは「庶民発想」という名でカテゴライズしました。TikTokの利用者はまだお金のない若者が多く、金持ち自慢や高級品自慢は、基本的にあまり共感されません。

逆に共感を集めているのが「庶民テク系」です。例えば、ニャンチーズさん(@nyanchi_z)の、回転寿司店で海鮮丼を作るアイデアを披露した動画は140万回再生されています。

1日100円で生活する様子を投稿する100円娯楽さん(税抜)(@100yengoraku)は、献血会場に行ってお菓子を食べる様子を投稿した動画が555万回再生を超え、大人気になりました。

このタイプでは、「提案共感系」の動画も注目を集めています。この系統には、庶民目線や消費者目線のアイデアを企業に提案する動画を分類しました。こうした動画には、共感や応援の気持ちを込めて「いいね」をつける若者が多くいます。