例えば、ディズニーランドに対して新しいポップコーンの販売を提案するマスターさん(@superarter)の動画は300万回再生、15万いいねを集めました。自分で開発した「おにぎりバターサンドクッキー」をセブン-イレブンに提案するぎーすけ・お菓子作りさん(@gi_sk_cake)さんの動画も、120万回再生、9万いいね集めています。

ここまで、Z世代の「知りたい・学びたい」という欲求に応えることでバズった動画を紹介してきました。僕を含めた中年世代とはまったく違う、Z世代特有の欲求や考え方が見えてきたのではないでしょうか。

動画は「映え」なくてもいい

もうひとつ特徴を挙げるなら、TikTokでバズる動画には映像のクオリティーが低いものも少なくありません。「映え」を意識した写真が人気を集めるインスタグラムとは違い、いかにも素人が撮影したという感じのものがバズっているのです。

TikTokの投稿映像には、クオリティーの高さは求められていません。むしろ素人感満載のほうが、Z世代にとっては親しみやすいようです。お金も社会での経験値もない若者が見慣れた、ごく身近な風景がそのまま映像になっている──。そのほうがリアルに感じられて、違和感なく受け入れられるのでしょう。

自分が知らない世界のことを知りたい、学校や大学では教えてもらえないことを学びたい、友達や家族には聞けないことを聞きたい。そしてそれらの情報を、自分たちにとってリアルに見える短い動画から簡潔に得たい。TikTokでバズった動画からは、Z世代に特徴的なこうした意識構造がうかがえると思います。(再生数・いいね数は1月末時点)

(構成=辻村洋子)
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