老後破綻まっしぐら、危険度95%のザル家計

そもそも、1億500万円近くの遺産や退職金はどこに消えたのか、聞きました。まず、10年ほど前に妻に入った現金9000万円の遺産ですが、「生活費で溶かしてしまった」と漠たる回答を繰り返すのみ。使途は闇の中です。

次に、わずか2年で10分の1にまで激減した約1600万円の退職金の行方を問うと、こちらはまだ記憶が浅いようで、明確に答えてくれました。まず住宅ローンの繰り上げ返済に200万円、自宅のリフォームや修繕で250万円、子どもの夏期講習や個別指導などの教育費に300万円、家電や家具の買い替えが400万円、妻の補塡ほてん返済が100万円。妻の洋子さんはこれまで家計の補塡を自身の収入からしてきたため、その分を退職金から引いたそうです。そして、夫にはこれまでがんばってくれた“ご褒美”に200万円を。これらを差し引くと、退職金の残りは150万円というわけです。

退職金は言うまでもなく大事な老後資金です。住宅ローンの残債を払うのはいいとしても、あれもこれもと使っていては瞬く間に底をついてしまいます。夫へのお小遣いに200万円を渡せるほど余裕があるのかというと、首を傾げざるを得ません。

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はっきり言って、この世帯の家計危険度は95度! かなりの危険水域です。数年すれば年金生活も始まるのに、毎月67万円の収入のうち1万5000円しか残らない生活だと間違いなく破綻します。過去には1億円以上もの資産を溶かした実績もあるわけですから。

ただ、洋子さん本人は、ブランド品などの高価な服飾品は身に着けていませんし、派手な生活をしているようには見えません。もしかすると、以前はこれほど収入がなく、支出が収入を上回っていたのかもしれません。

子どもの教育には熱心で、高校生の息子は私立高校に通いながら、複数の塾に通っています。また、洋子さんはフリーのインテリアコーディネーターですから、収入の波があり、軌道に乗るまでは収入が乏しく経費ばかりかさんでいました。職業柄、退職金の一部で買った家具家電のように、インテリアにお金を投じなければならない事情もあるのでしょう。