子どもは親の介護をするのが当たり前?
子どもが成長し、親も年齢を重ねれば、親子の関係にも変化が起こります。
今は、長男は結婚したら親と同居が当たり前、といった考え方は少なくなりましたが、それでも「親の介護が必要になったら、自分が全部責任を持たなければならない」「他人に世話をさせるわけにはいかない」。あるいは、「一人娘だから自分が面倒を見なければならない」といった思い込みに縛られ、親との関係で苦しんでいる方も多いのではないでしょうか。
そういった方にまずいいたいのは、介護施設やヘルパーなど、専門家による介護のサービスを受けるのは決して悪いことではないということです。そして、自分が介護のすべてを抱え込むことだけが親孝行ではないということです。
例えば頻繁に電話をする、メールを送る、LINEでトークするといった形で親とつながっていく、新しい親孝行のやり方も今はあるのです。
子育てと同じように、外部の手を借りればいい
「自分の人生を犠牲にしても親の世話を必ずしなければならない」という思い込みは、子どもも親も不幸にします。親の介護において大事なのは、適切な介護サービスを上手にマネジメントすることです。「高齢だから、親だから、他人に介護してもらうのは親不孝だ」、そう思い込むことは、アンコンシャス・バイアスの始まりです。
もしこれが子どもなら幼稚園や保育園に預けたり、習いごとにいかせたり、いろいろなサービスをうまくマネジメントして子育てを進めていきます。それと同じように、介護が必要となった親に対しても、親の状態に合わせてサービスを選び、提供すれば良いのです。
「大事にして、愛して、支えなくては」といった思いが根本にあることは、子育てと親の介護で変わりはありません。しかし、それをすべて自分で引き受けてしまうと限界がきてしまい、燃えつきて「もう親には早く死んでほしい」といった、精神的に辛い方向に行ったり、虐待に走る可能性もあります。
それでは親も子どももお互い不幸になってしまいます。子どもが自分のためにそういった状態になることは、親も望んではいないはずです。子どもの幸福が親の幸せなのです。