お金を使う消費者だと認識されると何が変わるか
自動車会社がスポンサーのドラマでは交通事故が起きないことはよく知られているが、過剰なまでのスポンサーへの配慮から、番組自体もどんどん浅薄なものになっていることも否めない。高齢者になるとテレビを視聴している時間がどんどん増えていくのだが、「時代劇の再放送しか見たい番組がない」ということになってしまう。
日本人のテレビ視聴時間は10代が最も短く、次いで20代、30代の順で短い。年齢が上がるほど増えている。アメリカでは2008年にテレビ視聴者の平均年齢が50代に到達したという。
お年寄りのほうがテレビに対する親和性も高いのだから、お金を使う消費者であると認識されれば、テレビ番組の質が向上することは、まず間違いない。
タンス預金で株を買えば前頭葉が若返る
少し横道にそれるが、高齢者が塩漬けにしているお金を動かすことで、停滞している日本経済も蘇る。というのも、2000兆円を超したと言われる個人金融資産の約6割を、60歳以上の世代が持っている。このお金が動かないことには、景気回復はありえないからだ。
ところが高齢者ほど1円も減らしたがらないから、いまの時期、株も買わないという人が多い。
「こんなときだから、面白い」と株を買ってみることで前頭葉が若返るのだから、それだけで投資分は取り返せるかもしれない。
高齢者が積極的にお金を使うために、私は固定資産税だけでなく金融資産税を設けるべきだと考えている。銀行預金にしておけばお金が減らないことに慣れているからだ。
先祖代々の土地に住んでいても、固定資産税はかかる。大金の場合、使わないでじっとお金を寝かせているのに、まったく減らない。利息には税金がかかるものの元金は減らないから、1円も減らしたくない高齢者は、資産を銀行で塩漬けにしているのである。
もし金融資産税を年に1%取ったとすると、20年長生きしたら20%目減りすることになる。こうなるとお金を使わざるをえなくなる。しかも銀行預金には金融資産税はかかるけれども、国債は金融資産税を免除にすると、無利子国債も出せることになる。
だから無利子になれば、いま膨大な額になっている国債費の一部が浮くわけだ。大反対を覚悟で金融資産税を導入したほうがいいと思う。
個人金融資産2000兆円なので、金融資産税が1%なら20兆円である。これは消費税の9%分に当たる。