高齢化率が県内トップの山村で医療費が安く済んでいる理由

2012年の「平成24年労働経済の分析」(厚生労働省)には「高齢者の就業率が高い都道府県ほど1人当たり老人医療費が低くなる傾向にある」といったことが示されている。

徳島県上勝町という町名をご存じだろうか。お年寄りが山で採ってきた葉っぱを、都会の料亭に売るビジネスで一躍有名になった。70代、80代のお年寄りが、毎日パソコンを見ては「いまは楓の葉っぱが人気で、値段も高い」などと頭を働かせて、山に採りに行く。年収1000万円を超えて、葉っぱ御殿を建てた人もいるというから、たいへんなやりがいになっていることは想像に難くない。

この町は県内で高齢化率が1位という山村だ。後期高齢者の1人あたりの医療費は96万円と、徳島県内平均の104万円を大きく下回っている。

同じようなDNAを持ち、いまや日本中で同じようなものを食べていながらこうした差がつくのは、働いているか否かの違いが大きい。

少し前までほとんどの企業で60歳が定年だったが、2013年に政府が改定した「高年齢者雇用安定法」によって、65歳までの雇用確保が義務づけられることとなった。現在は経過措置期間となっているが、2025年4月から65歳までの雇用確保が義務となる。これを「国は財政が厳しくて年金を払いたくないのだろう」と憤慨する人もいるかもしれない。

しかし「働いているほうが感情の老化予防にもなるし、若々しくいられる」と肯定的に捉えることもできるのだ。

高齢者は健康のためにもっと遊ぶべきだ

高齢になると「健康のために働く」だけでなく、「健康のために遊ぶ」「健康のためにお金を使う」ことも大きな意味を持つ。

高齢者は地味にするのが当然だと思われているから、ややもすると「年金でカラオケに行くのはいかがなものか」「年金生活者がパチンコに行くとはけしからん」といった非難になりがちだ。しかし年金生活者はしっかり遊んでくれたほうが消費につながるし、それ以上に前頭葉を刺激することになって免疫機能も上がる。

つまり高齢者がお金を使って遊ぶことは、病気のリスクを減らすことにもつながるから、「お年寄りはもっと遊べ」と言いたいのである。

感情の老化を予防するには、歳を取るほど強い刺激が必要だ。

脳の老化によって弱い刺激には反応しにくくなることに加えて、積み重ねた人生経験から多少のことでは心に響かなくなるからだ。仕事で経験を積んでくると、先が読めるからそつなくこなせる。失敗することもなくなるけれども、面白さは薄れてくる。「先が読めてしまう」と刺激が失せるだけでなく、興味や関心までも色褪せる。