狩猟採集時代に子育ては妻に任せきりだった名残か、男性は子供の心理を読むことは苦手で、妻から子供の日常のさまつな話を聞いても共感できないことが多い。

また小林先生は、「男性は、子供に目立った変化がなければ、情報として価値がないと考える傾向がある」という。

そのため、子供が受験に合格するか否かの一大事には興味があっても、それ以前の子供の心理状態や健康状態が多少変化してもあまり気にならないというのが実態のようだ。

女性は、男性のそうした特性を理解して、「日々の細かな変化については自分が責任を持つ」くらいの心構えでいたほうが、喧嘩の原因も減り、得策といえる。また、夫に余分なストレスを与えず、仕事に専念してもらえるというメリットもある。

ただし、子供の模試の結果が受験の合否に響くほど悪くなり、夫にどうしても相談にのってほしい場合は、妻のほうが男性の特性を理解して、うまくコントロールする必要があるだろう。小林先生がおススメするのは、男性の探究心をくすぐる方法だ。

「模試の成績について相談したいときには、お子さんのそれまでの成績をデータ化するなど工夫してみてはどうでしょう」

データを見せながら、「あなたの意見を聞かせてほしい」といえば、データ好きな男性は細かく分析をして、「成績が下がったのは、これが原因じゃないか」「息子は算数のこの部分が苦手なんじゃないか」と、妻は気づかなかった子供の新たな一面を発見でき、前向きな話し合いができる可能性が高くなるという。

ただ、データを作っても夫が相談にのってくれない場合は、話の仕方に問題がある場合も考えられる。次回の「夫婦で教育方針がずれるのは遺伝子の仕業だった【3】」で紹介する対策を参考にしてほしい。

(小林朋道=教える人)