「そ、それは……」部長のあまりに直球の指摘に焦る藤井君。その隣で木村君が続ける。

「それから、エスアイヤーさんというのは、山の名前じゃなくて、システムインテグレーターです。要は、各企業のニーズに合わせてパソコンやサーバーやネットワークを用意して、目的どおり動くように設定してくれる業者さんですよ。システムインテグレーションの略語のSIに、「~する人」を意味するerをつけて、SIerと表記するんで、読むときもエスアイヤー。それに、さん付けしただけです。IT用語には、こんなのが多いんですよ」

SIer[エスアイヤー]/さまざまなIT・ネットワーク機器を連携させて、目的どおりに動作するように設定・調整する業者「システムインテグレーター」を指す日本独特の表現。SIerは、米国発のおしゃれな略語のように見えるが、単なる和製英語。

「大文字、小文字が入り乱れたり、単語間のスペースがなかったり、ITの世界はひどい言語感覚だな」と部長が木村君に文句を言っている。

「はぁ、そうですね。あ、そうだ、仮想化はエコにもつながるので、グリーンITでもあるんです」

グリーンIT/設計から廃棄の段階まで環境に配慮したIT製品・技術。色は関係ない。別名グリーンコンピューティング。

すると、さっきまで仏頂面だった部長がうれしそうに「だよな。俺も先月、黄緑色のパソコンにしたんだよ。ほら、真央ちゃんが着てる服みたいなカエル色。実は娘が『パパ、パソコン買うなら、絶対カラフルでかわいいのにして』なんて言うから、選んだんだけどね。はっはっ」

ITのグリーン化も大切だが、凸凹食品の場合、こんな生産性の低い残業をなくすことがエコと財務改善の第一歩だろう。

※すべて雑誌掲載当時

(佐藤尚規(インターネットコンサルタント)、ネットマークス=取材協力)